マグノリアカンパニー

グアンタナモ 復讐からの解放

9.11に関与したアルカイダの一員とされ、悪名高い「グアンタナモ収容所」で14年間拘留されたモハメドゥ・スラヒ。
彼は厳しい尋問や拷問を受けたすえに、証拠不十分で釈放されました。

モハメドゥがグアンタナモ収容所で綴った手記を題材にした映画『モーリタニアン 黒塗りの記録』が
2021年10月に公開されました。
映画はモハメドゥを釈放するために調査を進める弁護士、彼を死刑にするための証拠を集める検察官、
そしてモハメドゥ本人と彼がグアンタナモで体験した出来事の回想を中心に展開していきます。

激しい光の点滅などでモハメドゥの味わった苦痛を疑似体験させられる、凄惨な拷問シーン。
その回想のなかには印象深い登場人物がひとり出てきます。拷問を行った「尋問官の女性」です。

前のシーンでモハメドゥに激しい拷問を加えていた「尋問官の女性」は疲れ切った様子で現れ、
モハメドゥに自白をするよう対話を持ちかけます。
しかし、そこに他の尋問官たちが現れて拷問が再開され、女性は拷問をやめるよう泣き叫んで訴えるのです。
その後、この女性は一切登場しませんが、強烈な印象を残しています……。

映画の公開にあわせて、弊社が日本語版制作に携わっているBS世界のドキュメンタリーでは、
釈放後のモハメドゥ本人と彼の処遇に関わった軍関係者を取材した
『“復讐”からの解放〜グアンタナモ その後~』が放送されました。
番組のなかにも印象深い元尋問官が登場します。
モハメドゥに拷問を加え、その罪悪感に今も苦しめられている「ミスターX」です。

自らの行いを後悔しつつ「これからも背負っていく」と語るミスターXですが、
動きや表情から心に深い傷を負っている様子がうかがえます。
釈放され、人生を楽しみはじめているモハメドゥと、今もそれぞれの立場で苦しんでいる
一部の軍関係者たち……。
映画でも番組でも、軍関係者たちはモハメドゥを不当に扱った「加害者」として登場します。
しかし、モハメドゥの有罪を信じ込まされ、非合法な尋問計画に加担させられた一部の人たちは
「被害者」とも呼べるのかもしれません……。

『“復讐”からの解放〜グアンタナモ その後~』は2021年11月30日(火)に再放送されます。

モハメドゥ本人だけでなく、映画ではベネディクト・カンバーバッチが演じた
検察官スチュアート・カウチも番組のなかでインタビューに答えています。
当事者たちの生の声を聞いてみると、映画で受けた印象が変わるかもしれません……。
映画を観る前でも、観たあとでも、番組単体でも、非常に興味深い内容となっています。

■NHK BS1:BS世界のドキュメンタリー『“復讐”からの解放〜グアンタナモ その後~』
 2021年11月30日(火) 午後3:05~ 再放送

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